DMPは自社データだけではわからない新規顧客を獲得するヒント【書評】

顧客を知るためのデータマネジメントプラットフォーム DMP入門 データサイエンス
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DMP(データマネジメントプラットフォーム)の2つの定義

本書によればDMPの定義は主に2つあり、後者のプライベートDMPはWebでのCRMといった感じでしょうか。
・広告配信対象となるオーディエンスデータを販売する事業者(例:Xrost DMPAudienceOne) ・企業が自社で保有する顧客の行動をデータベース化(「プライベートDMP」と呼ぶ)

DMPのポイントは自社データではわからない部分も活用したクラスタリング

本書ではDMPを定義する要素として以下の7つを挙げている。
  1. 顧客ID、Cookie、ソーシャルメディアIDなどを統合
  2. 統合されたデータを分析し、クラスタリングを生成
  3. 生成したクラスターを連携するツールにデータをフィード、交換
  4. 生成したクラスターに属するユーザーデータを可視化
  5. 特定ユーザーと類似、関連付けられるユーザーに対象を拡張
  6. ユーザーセグメントを最適化し、セグメントごとのメッセージを最適化する
  7. ユーザーデータを広告配信に利用し、広告配信の反応によってデータ精度を高める
これらのうち、DMP業者の優劣の差をつけるのが5と7でしょう。たとえばXrostでは、TSUTAYAで有名なTポイントカードのWeb会員の情報を持っているので、たとえば東京都在住の20代女性たちがどのサイトをどのタイミングで訪れるかをまとめることで、それに似た行動履歴をするデータを東京都在住の20代女性と定義できます。 これを何度も行っていけば精度を上げていくことが可能です。ですが、そもそもベースとなるデータをどれだけ持っているかが重要なので、これがDMP業者の勝敗の分かれ目となるのではないでしょうか? できるかどうかはわかりませんが、広告主が持つ顧客情報の属性部分をを寄せ集めるという事をするDMP業者も出てくるかと思います。 しかしこちらについては、広告主側にとってよほど美味しい条件が無いといけませんし、XrostのTSUTAYAのように個人情報を出さないということを顧客側が了承しないといけませんね。 話は戻ってDMPのクラスタリングについてですが、総合通販サイトで40代の主婦が旦那の服を購入するケースが多いという事が以前ありました。これまでのリタゲや個人の属性を用いずに訪問履歴や購入履歴だけで行われるセグメントではこの主婦には男性商品を訴求する可能性が高いです。 ですが、ここにDMPならではの属性が加わる事でハズレが少ない広告を配信できるようになります。このハズレをいかに少なくするかがDMP業者の評価となっていくと思いますし、これをDSPのせいにしてはいけないかと思います。

広告の費用対効果最大がDMPの目的

DMPは自社データだけではわからない訪問者のセグメントを行うわけですから、利用目的はなんといっても広告です。DMPによって訪問者の属性が判別できますので、枠ではなく人に対して広告配信が可能なDSPを使って、DMPでのセグメント条件に当てはまる人にDSPで広告を見せていくのが一般的なパターンです。

プライベートDMP&DMP&DSPの連携が必要

プライベートDMPを構築したところで訪問者のサイト内の情報と属性しか集まりません。 DMPで得られる外部のデータ(=オーディエンスデータ)と組み合わせることで訪問者への広告の精度を上げて行く必要があるので、遅かれ早かれDMPの導入は避けられないかと思います。 本書ではlook-alikeという手法が紹介されています。そちらについては WireColumn: DMPによるデータ活用法(ExchangeWire)の説明がわかりやすいと思います。

リターゲティングとDMPの違い

ちょっと悩んだのがリスティングとDMP&DSPの違いでした。詳細は違うかもしれませんが、ざっくりいえば、ページで判断するのがリターゲティングで、動線&属性等でセグメントするのがDMP&DSPという事だと思います。
  • リターゲティング:自サイトへの訪問者が見たページに応じて外部のサイトで広告を見せる
  • DMP&DSP:自サイトへの訪問者の属性をDMPで分析して外部のサイトで広告を見せる
訪問者が自サイトの複数のページを見た場合、広告内容が絞れない可能性があります。一方のDMPでは複数のページに関連する情報をセグメント化する事で訴求できる事もあるので、DMP&DSPの方が訪問者にささる可能性が高くなると思われます。

DMPによる成果向上は長い道のり。CMOのような牽引者が必要

本書ではGDOの中澤さんのインタビューが記載されています。GDOさんはWebマーケティングでは日本でもかなり先駆者的な取り組みをしていると思います。 そのGDOさんですら3年経っても不十分というのですから、なかなか難しい事が想像できます。 また、社内体制についてGDOさんではシステム部よりもマーケティング部の中にシステム担当部門を作り、彼らが主導となっていたようです。本来ならばITに強いシステム部がすべきだと思いましたが、やはりシステム部に任せるとなるとマーケティングスキルが無いのでなかなかうまく行かないようです。(※私の会社がそうなので余計にそう感じてしまうのかもしれませんが。。。) DMPに限らずマーケティングシステムは基幹システムとは切り離して構築していく必要があり、それを実現するには全体を動かすCMO的な存在がいないと結構大変だと感じました。

DMPを実践するのは大変。でも広告効果には必要な要素

本書を読んで、DMP(DSPも含めて)を実践するには、人、モノ、金のどれをとっても結構大変な事だとわかりました。中でも人については人員不足で、金については今まで発生していないコストがかかるので捻出するのが結構大変だと感じました。 また、モノについては現在のDMPの精度がまだまだ低い事と成功例が出てきていないのでこれは時間の問題とDMP業者の努力に任せるしかないと思います。 と長々と書きましたが、私の会社はまずはプライベートDMPからです。。。 [amazonjs asin=”484439584X” locale=”JP” title=”顧客を知るためのデータマネジメントプラットフォーム DMP入門 (NextPublishing)”]]]>

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